横浜の方より遺言書に関するご相談
2024年01月09日
司法書士の先生、遺言書があれば内縁の妻に財産を渡すことができますか?(横浜)
私は横浜在住の男性です。最近親しくしていた人に不幸があり、自身の相続について考えるようになりました。
私には現在生活を共にしている女性、いわゆる内縁の妻がおります。実は私には離婚歴があり、前妻は今も娘と共に横浜に住んでいるので、世間体もあって内縁の妻とは籍を入れていない状況です。私の身に万が一のことがあった時は、内縁の妻には相続権がありません。しかしながら内縁の妻は現在の生活の基盤を立て直すために非常に力を尽くしてくれたので、私の財産を渡したいという思いがあります。
そこで司法書士の先生に相談なのですが、遺言書を遺せば内縁の妻に財産を渡すことができるでしょうか。遺言書を作成する際の注意点などあれば併せて教えていただきたいです。(横浜)
内縁の奥様と相続人となるご息女の両名にとって不服のない内容を検討し、遺言書を作成しましょう。
ご相談者様のご相談内容から、推定相続人はご息女であり、婚姻関係にない内縁の奥様には相続権がないことになります。しかしながらご相談者様が生前のうちに遺言書を作成し「遺贈」の意思を主張しておけば、相続人ではない内縁の奥様にも財産を渡すことが可能となります。
このような場合におすすめなのが、公正証書遺言による遺言書の作成です。公正証書遺言は公証人が遺言者から遺言内容を聞き取ったうえで、法律で定められた形式に従って遺言書を作成しますので、ご自身で作成する自筆証書遺言よりも確実な遺言方法といえます。さらに遺言書の原本は公証役場内で保管されるため、第三者による遺言内容の改ざんを防ぐことができるうえ、紛失の心配もありません。
遺言の執行をより確実なものとするため、遺言書の中で遺言執行者を指定しておくこともおすすめです。遺言執行者は、遺言内容を確実に実現させるために相続手続きを進める権限を有しますので、信頼のおける方を指定しておけば、内縁の奥様が相続の際に困ることもなくなるでしょう。
遺言内容については、推定相続人であるご息女の遺留分にも配慮する必要があります。遺留分とは法律で守られた相続人が遺産を取得できる一定の割合のことです。「内縁の奥様に全財産を遺贈する」という内容を遺言書に遺してしまうと、ご息女の遺留分を侵害していることになってしまいます。最悪の場合、遺留分侵害額の請求のためにご息女と内縁の奥様の間で裁判沙汰になってしまう恐れもありますので、遺言内容で揉めることのないよう、遺産の分割方法については十分に検討しましょう。
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