公正証書遺言を撤回する方法
まずは公正証書遺言の撤回について説明します。
公証役場で公正証書遺言を作成すると、原本が公証役場に保管されます。 正本や謄本は遺言者に渡されますが、手元のこれらを破棄しても公証役場に原本が残ったままです。
そのため、作成した公正証書遺言を撤回するには、公証役場で撤回の申述をするか、新たに遺言書を作成する必要があります。
公証役場での撤回
公証役場での撤回は、印鑑登録証明書(3か月以内)と実印を用意し、遺言書を作成したときと同じように、証人2名の前で、公証人に対して、公正証書を無かったことにしたい旨を述べて、公正証書に署名捺印します。
手数料として11000円かかります。
公正証書遺言
公正証書遺言は公証役場で保管されているため、相続人が照会の請求をすれば存在の有無を調べることができ、謄本を請求することができます。
新たに作成する場合
新たに作成する場合は遺言書に「●年●月●日に作成した遺言を撤回する」という内容を記載すると新しく作ったものが遺言書としての効力を持ちます。
新しく作った遺言書を混同しないように古い正本と謄本は破棄することをおすすめします。
また、遺言書の全部ではなく、不動産部分、金融部分など一部を撤回する場合もあります。
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一部を撤回する場合
一部撤回の方法はいくつかあります。
修正が少ない場合、文字の加入は、その部分に直接記入します。 削除したうえで修正する場合には、修正前の内容が読めるように二重線を引き、その付近に修正文言を記載します。
修正前の文字が見えないと無効になってしまうので注意しましょう。
いずれも、それぞれの箇所に遺言書と同じ印で捺印をします。更に、「〇字加入△字削除」というように記入してをして署名をします。
修正箇所が多い場合には、「更生」や「補充」という方法があります。
「更生」は「更生証書」、補充は「補充証書」という公正証書をあらたに作成します。更生や補充は遺言を残すという法律行為の本体の内容を変更しない限度で認められます。
この手続きも必要書類の提出、公証人による読み上げと署名捺印、などの手続きを行い、公証人手数料を支払う必要があります。
自筆証書遺言を撤回する方法
自筆証書遺言を撤回する方法は遺言書の保管方法によって異なります。
➀自宅での保管
手元に自筆証書遺言がある場合は遺言書を破棄すれば撤回となります。
②法務局での保管
撤回書を作成し、法務局に提出をして撤回の予約をし、撤回となります。
遺言書の法務局保管も撤回も本人でなければできません。
また、遺言書撤回のときは撤回書以外特に必要な資料はありません。
ただ、撤回の時に本人確認をしますので、本人確認書類(免許書など顔つきのもの)を提示する必要があります。
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公正証書遺言を撤回するの際の注意点
遺言書を撤回する際には注意点があります。
➀一度撤回した遺言を再度撤回することはできない
遺言の撤回の撤回はできません。以前撤回した遺言の撤回を撤回するという旨の記載しても意味がありません。 もし一度撤回した遺言を復活させたいという場合は、再度以前の内容と同じ遺言を作り直す必要があります。
②新しく作成した遺言書が無効になるリスクがある
例えば、公正証書遺言を撤回して、新たに自筆証書遺言を作成したとき、要件を満たしていないと撤回のために作った遺言が無効になってしまうことがあります。
こういったリスクを避けるには、新たに作る遺言書も公正証書遺言の方式にする必要があります。
③以前の遺言書を破棄できない
先程記載した通り、公正証書遺言は原本が公証役場に残るため、必ず撤回の申述を公証役場でするか、別の遺言書を作成しなければなりません。
まとめ
遺言書は亡くなった方の最後の意思を示す大切なものです。
遺言書の修正や撤回を間違えて無効になってしまうと、遺言者の生前の意思が実現されなくなってしまいます。
このようなことを避けるためにも、まずは専門家に相談することをおすすめします。相続遺言相談センターでは60分~90分しっかりと時間をとってお客様に寄り添い、今後必要な手続きについてご案内させていただきます。
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