考えさせられる『生活保護』制度の今
2012年06月10日
こんにちは。
オーシャンの行政書士黒田美菜子です。
私の所属している神奈川県行政書士会横浜中央支部では、地域の市民の皆さまにとって、
より身近で親しみやすく、気軽にお困りごとを相談して頂ける存在になるために、
中区・西区・保土ヶ谷区の区役所で、無料相談会を開催しています。
私が先日担当した西区役所での相談会では、遺言や借地問題に関するご相談が中心でしたが、
区役所という公的機関の相談会という性質上、時折ですが、生活保護に関するご相談を
お受けすることもあるようです。
生活保護の受給に関するご相談は、行政書士が直接的にお手伝いできることではないので、
実際に、具体的に『生活保護を申請したいのですが・・』という方がいらした場合には、
そのまま区役所内の専門部署をご案内させていただく形となります。
ただ、そうはいっても公的機関での相談員を担当する以上、制度の概要や横浜市における
運用の実態について、少しでも理解を深めておくべきであるというこで、
先週中区役所の生活保護課のご担当の方がご厚意により、横浜市の生活保護制度の運用
について、1時間程度のレクチャーをして下さいました。
生活保護というと、ちょうど今は世間で芸人さんのご家族の方の不正受給問題が
取り沙汰されていますね。
民法では、確かに親子・夫婦間の扶養義務が規定されています。
しかし、例えば成人している子供に多額の収入があり、一方で親には収入がなく、
生活に困窮していたとしても、具体的に「月々●万円仕送りすべき」といった規定は
ありません。
このため、当然に生活保護支給の判断の場面においても、離れて暮らしている
申請者の子供に対し、「あなたは高収入だから●万円を親に仕送りしなさい。」
と行政側から命令することはできないのです。
また、扶養義務があるといっても、ここまで核家族化が進んだ現代では、家族の関係性も
様々ですし、必ずしも家族間の信頼関係が良好に保たれているとは限りません。
マスコミで騒がれた問題と、実際の生活保護申請と受給の判断の現場で起きている
リアルの話に触れ、改めて考えさせられるものがありました。
本当に『不正受給』と言われても仕方のない悪質なケースがある中で、行政に助けを
求めていれば・・・と悔やまれる事件も起きています。
社会のセーフティネットワークの在り方を私たちも考えていかなくてはいけないと
感じる勉強会でした。